作品について

オレのアソコは最終兵器 《アルティメット・ウェポン》
Ultimate Weapon - Creation and Destruction -
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【略称】オレサイ
【作者】桜井正宗@sakuraimasamune
【公開】2019年
【最終】2019年03月21日
【一言】

 とある異世界のお話。
 全てを失い、混沌《カオス》に染まったカズム。
 “世界に混沌を齎す者”の使命として旅を続ける。

登場人物紹介

◆カズム
世界に混沌《カオス》を齎す者。
各地を巡っては“とある噂”を追い求めている。
数年前にクロとシロを拾い、共に旅を続けている。

性別:♂ 好きなもの:煎餅

◆クロ
黒髪赤眼。真っ黒な服が特徴的だが、透明白肌。
物静かで口数が少なめ。たまに饒舌。

性別:♀ 好きなもの:チョコレート

◆シロ
銀髪ショートヘア。赤眼。
天真爛漫。やんちゃで明るい性格。時々狂気。
エロ担当でもある。

性別:♀ 好きなもの:シュークリーム

◆ヘメラ
とある王国の偉大な魔法使い。
過去現在に至るまでエーテル値が異常とされ、莫大な魔力量を内包している。
カズム達の監視役。

性別:♀ 好きなもの:辛いもの

第一章「混沌世界」

 とある王国は荒廃し、とある村は戦火の渦に晒されていた。
 そこから戦は更に飛び火し、世界は動乱の時代へ突入した。


 + + +


 此処はとある村――オリジン。
 この村の古びた酒場に後ろ髪を引かれ足を運んでみたのだが、内装まで本当にボロボロで、カビ臭く今にも潰れそうな店だった。本当に酒場かこれ? と、疑いたくなるほど物置感もスゴイ。この店の看板には偽りがあるのではと疑いをかける。
 だが、店のマスターであろうか。歳は見るからに爺だが、やたら筋肉ムキムキの屈強の大男。あれは何か武術の達人と見た。さすがにあんな大男を前に即撤退は、死を招きそうだったので止む無くボロいカウンターの、更にボロイ椅子に腰掛けた――が。

 バキボキバキ……!!

 あっさり椅子が壊れた。
 そのせいで後屈になり、酷い体勢で転げ落ちた。中途半端なでんぐり返りとなり、非常にダサイことになっている俺。

「にぃちゃん、見ない顔だな。軽装のようだし旅人さんには見えないが。観光か?」

 爺マスターにギロっとなぜか睨まれる。
 いや、この体勢で睨まれても困るのだが。

「いえ。あの噂を聞きましてね。この村を調査しているんです」

「あの噂……」と、マスターのただでさえ険しい顔が更に険しくなる。

「なるほどな。この村もそろそろオシマイかもしれんな。あの噂が流れ始めるのは悪い兆候だ。つまり、戦争に巻き込まれることを意味しているからな」

 深い溜息。
 その反応は常識的で正しい。なぜならば、とある噂が広まるだけでその村、町、国は滅んでいった。もう幾つも。幾度も。

「出ていけ」

「へ?」

 急にマスターの態度が豹変する。

「出てけと言ったんだ、小僧。もう店終いだ。
 その噂を聞いたからには、ワシはさっさとこの村を出ていく。命が惜しいしな」

「村の人たちはどうするんです。見捨てるんですか」

「俺には関係ない。それにだな……さっさと出てけと言ったんだァァァ!!」

 爺マスターの腕が振りあがるや否や、俺は胸倉を強く掴まれる。そこから全力投球され、店の壁を突き破り、外へ放り出された。

「ぬお? ごはぁっああああああぁぁああ!?」

 ズササッーと、地面に見事減り込み、顔面を磨り減らした。
 それが数メートル、いや、数十メートルは続きブレーキがなかなか掛からなかった。なんつう威力だ。
 どこかに激突してようやく身体が止まり、そこにゴミのように投げ出された。

「イ…………イテェ……」

 あの爺……怪力お化けかよ。確かに何かの達人ではあったようだが……この程度で済んで幸いだったのかもしれない。

 さて。さてさて困った。
 実のところ、あの爺を追ってこの村まで来たのだったが、見事に取り逃してしまった。こりゃあ、シロのヤツにどやされるだろうな。

 などと鬱になりかけたところで、見知った顔の少女が俺を見下していた。

「あ……シロ」

「あ……シロ、じゃないでしょ、カズム。あのターゲット逃がしちゃって、またヘメラさんに怒られても知らないよ」

 それもまた鬱だ。特にヘメラは面倒くさい。
 あまり関わりたくないのだが、アレは厄介この上ない。まず逃げられない。

「それよりだシロ」

「ん?」

「ぱんつ丸見えだぞ」

「なっ……! 死ね、カズム」

 ばきっ。頭蓋骨の割れる音がした。かなり強く踏まれた。ありがとうございます。

「で、シロ。クロはどうした。姿が見えないが」

「クロは、あのターゲットを追跡中。たぶんもう処理しちゃってるかもね」

 相変わらず可愛らしい純白パンツが丸見えだが、なるほど納得した。となると爺は確実に捕らえられているだろう。

「よし、パンツも見れたし行くか」

「まだ踏まれたいの? カズムはヘンタイね」

「それは違うぞ、シロ。男は皆ヘンタイなのだ」

「うん。カズムは特別ヘンタイ。ドヘンタイよ。ほら、もう行くよゴミ」

 ありがとうございます。


+ + +


 村を出てぶらぶらと歩いて向かう。
 この周辺では、禁域ともされている魔と聖の境界とされている森。
 常に濃霧に包まれるその場所は不気味で薄気味悪い。しかし、そんな場所の深部に彼女はいた。
 全身がほぼ黒に包まれた少女が薄っすら微笑み、こちらを向く。

「よう、クロ。息災か」

「無事。それより、コレ、どうする?」

 クロから発せられている黒い靄が、爺を地に捻じ伏せていた。あれに絡め取られたら動ける者はそういない。

「ヘメラの依頼だからな。そいつを引き渡すだけだ。
 ……だが、生死は問われていない。好きにしろ」

「了解」

 感情なく頷くクロ。
 それに対し、爺は必死にもがき助けを請うた。

「ま、待て!! せめて命だけは!! 頼む!! 生かしてくれたら、あの噂の情報を断片だが全て話す……だから頼む!!」

 ガタガタと恐怖に怯える爺。さっきまでの屈強の男とは思えない体たらくっぷりである。

「まあいい。その情報は貴重だからな。話せば生かしてはやる。だが、引渡し後は保障できないからな。それだけはよく覚えておくことだ」

「……す、すまねぇ。助かったぜ……なんてなぁ!! ワシはこの瞬間《トキ》を待っていたんだよ、馬鹿共が!! この黒い嬢ちゃんは人質にさせてもらうぜ!!」

 その豪腕でクロを強引に捕らえる爺。


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